男性に性的な夢を見せて精気を奪うとされる悪魔

-解説-

「夢魔」や「淫魔」とも呼ばれる。
男性の夢に理想的な美女の姿で現れ、夢の中で性行為を行うことで強制的に夢精させ精液を奪っていくとされるが、現実世界における姿は醜悪だと言われている。
奪った精液はサキュバスと同種族して扱われることもあるインキュバスに引き渡され（もしくはサキュバス自身が男性の姿に変化し）、今度は女性の夢に現れて妊娠させる。
この生態から婚姻関係にない男女の間に子どもを作るという傍迷惑な結果をもたらすため、禁欲を是として姦淫を罪とするキリスト教徒にとっては洒落にならない脅威とされていた。
しかしこのサキュバスという存在自体が「不純な異性関係に対する言い訳として生み出されたのでは？」とも言われており、果たしてそれが事実ならサキュバスを言い訳にした張本人が地獄行きを免れたのかは疑問である。

その性的すぎる生態から現代のフィクション作品においてもエロ系シチュエーションで重宝されており、夢の中どころか現実世界で性的に襲ってくる存在になりつつある。
古くは「鳥の翼と兎の蹄を併せ持ち、牛のような尾を持つ異形の悪魔」というのが現実世界におけるサキュバスの姿とされていたが、近年のフィクション作品においてはコウモリの翼と角を持った美女として描かれることが多く、どれだけ欲望に正直な改変が行われたかが窺い知れる。